3つの何かでできているやきもの法則「セメは3つに分けられる」

焼成過程は大きく3つの工程がある。
それは「あぶり」「セメ」「冷まし」である。
あぶりは、焼成開始からおおよそ1000℃くらいまで。焼成過程は大きく3つの工程がある。
それは「あぶり」「セメ」「冷まし」である。
あぶりは、焼成開始からおおよそ1000℃くらいまで。
セメは、1000℃くらいから焼き上げまで。
冷ましは、冷却過程すべてである。

「セメ」はさらに3つに分けることができる。

1,セメあぶり(950または970~1,000℃まで)
2,セメ(1,000℃~1,200℃まで)
3,練らし(1,200~焼き上げまで(概ね1250℃))

1、セメあぶり
「せめあぶり」ということばは、加藤唐九郎の「やきもの随筆」の中にあった。
唐九郎は九百五十度から千度までを「せめあぶり」と述べています。
唐九郎は「せめあぶり」について、「酸化焔焼成と還元焔焼成のいわばあいの子の中性焔で熱を上昇さ
せるのです。」と述べています。その理由は、大西政太郎氏の「陶芸の土と窯焼き」にヒントがありま
す。それはいわゆる「油煙まき」防止の意味合いがあるようです。
「油煙まき」とは、還元入り直後の比較的低い温度で本格的な還元状態(還元過剰)にすると、薪から
発生し燃え切れなかった炭素分が釉薬に付着し、焼き上がりまで消えることなく残ってしまうことです

特に大西氏は「陶芸の土と窯焼き」の窯焼き(P3-1~3-68)部分では「油煙まき」ということばを5回
繰り返しています。油煙まきに対する注力ぶりがうかがえます。大西氏の使用していた窯は電気窯でし
た。窯に温度差があるとプロパンガスで還元炎を投入した際に低温部分が油煙まきになりやすかったの
ではないでしょうか。

セメあぶりの950~1,000℃は油煙まきに注意する温度帯です。
還元に入る温度が950℃と970℃の二つある理由は、油煙まきに関係しているようです。
それは窯のある場所が低地の場合は950℃から、高地の場合は970℃からということです。
低地の場合は酸素濃度が比較的濃いので低い温度(950℃)から還元に入っても油煙まきの発生しにく
いのですが、高地にある窯の場合は酸素濃度が薄いので20℃高い970℃から還元に入るというものです

1,000~1,050℃の間に、還元炎を後部色味穴から噴出させます。
電気窯でもガス窯でも1050℃になると還元炎は確実に見えるようになります。
1050℃を過ぎても還元炎が見えてこないという場合は、操作に何か問題があると考えた方がよいでしょ
う。もしくは窯に還元が掛からない機能的理由がある場合といえます。(これについては後日まとめた
いと考えています)

もちろん1000℃以下で還元炎を出すようにしても作品の目的にあっているのであれば何ら問題はありま
せん。1050℃には本格的に還元または強還元に入るので、釉薬に対して比較的安全な1050℃以下で、
窯内にきれいな還元状態を作るための準備期間が「セメあぶり」なのです。

950℃あたりからガス窯で還元の操作をすると、あっという間に50~60度上がってしまうことがありま
す。ガス窯は急に温度が上がると上下の温度差が発生しやすくなります。温度差が多いと還元ムラも出
やすくなるので、1050℃あたりまでに温度差の少ない還雰囲気を作ることが大切です。
化学反応は1000℃を過ぎるとより活発化するので、これ以降の温度帯は釉調が決まる大事な部分です。
2、セメ(1,000~1,200℃)
セメは釉薬の色が決まる温度帯です。その中でも1,050~1,150℃の100度の間は活発に変化している温
度帯です。

とくに酸化金属に鉄が含有されている青磁釉はその長短で釉調が変わってきます。
こういう経験がありました。

当社で納めたガス窯を使って青磁釉を焼いている陶芸家Aさんが、何窯かに一度、七官青磁のような緑
色を呈した釉調になってしまう、ということで相談を受けました。
焼成グラフとテストピースを見ると、どうやら1050~1150℃の間を2時間半で昇温した場合は緑色を呈
しているのです。目的の薄い水色を呈した青磁の時、1050~1150℃は3時間以上かかっているのです。
ガス窯の昇温は、作品の量や外気の湿度、気温によって変化します。
1050~1150℃の昇温がいつもより早いと感じたときにはガス圧やダンパーを操作して、昇温の程度を
合わせることが大切です。

釉薬の色が活発に変化しているのは1050℃~1150℃ですが、釉薬によっては色の決まる温度がそれよ
り遅くなることもあります。研究者により、釉薬は1180℃まで変化している、と述べている文献もあり
ます。当然その間だけ釉薬の化学反応が行われているわけではありませんが、セメは、釉薬が窯の中の
空気成分(還元ガスか、酸素)で活発に変化している温度帯であると考えると、「セメ」の温度帯は概
ね1,000℃から1,200℃であるといえます。

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