還元のススメ
還元こそが‘やきものの神髄’
古来より、良いやきものはすべて還元で焼かれています。
ではなぜ還元焼成なのでしょうか?
理由の一つに、「還元でないと窯の温度が上がらなかったから」ということがあります。
蓄熱、つまり温度を上げることを目的とした窯の場合、酸化雰囲気にすると窯の温度は上がりません。
酸化にするために通風を良くすると、煙突から熱も出てしまうのです。
空気中に酸素は約20%、窒素などの不活性ガスは約80%存在しています。
燃焼に必要な酸素を取り入れるためには窒素なども一緒に窯に入ってしまいます。
そうすると窯の温度は上がらないので、温度を上げるためには煙突から熱が逃げないようにします。
その結果、窯は自然と還元雰囲気になってしまうのです。
また、還元でないと素地が焼け締まらなかった、ということもあります。
素地中のアルミナ分は還元されると融点が下がります。
それによって珪酸分や粘土分が良く溶け合って素地が良く焼け締まるのです。
ビール缶などのアルミニウムは約660度という低温で溶けてしまいます。
しかし、アルミニウムの酸化物であるアルミナ(酸化アルミニウム)はなんと2,072度という高い融点温度です。
粘土構成物の一つであるアルミナは還元されると融点が下がり、溶けやすくなるのです。
「窯の温度が上がらない」ということを「アルミナ分が還元されて融点が下がる」という現象で補ってくれた。
そうして良く焼け締まったやきものができた、という奇跡ともいうべき結果になったのです。
日本では、古来より、人間のチカラが及ばない部分を還元という自然のチカラで素晴らしいやきものができていると考えられます。
還元で焼くことが「やきものづくりの第一歩」といえるのではないでしょうか。
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